in the 地獄

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いつものように暮らすこと

京都の道の名前を体で覚える

まず、理由や過程なんかは置いときます。

「京都の道の名前を体で覚える」を終えた結果を動画にしましたので、そちらをご覧ください。

 


京都の道の名前が出てくる歌バンドアレンジ「まるたけえびす」「てらごこ」


これを見て、僕が何をしたのか、察せられた方もいらっしゃるかもしれませんね。

京都には道の名前がたくさん出てくるわらべ歌があります。

「まるたけえびす」と「てらごこ」です。

 

今回、その歌に登場する道を全て徒歩で巡ってきました。

これはその体験記録です。

 

 

【1 はじめに】

僕はトータルで4年ほど京都に住んでいるが、道の名前がまだまだ分からない。

 

碁盤の目のように、細かく広がる京都の道。

今ここにいて、目的地はあっち、と当てずっぽうに進んで、迷うこともしばしば。スマホで地図を見ながら歩き、充電が切れたこともある。

文明は万能ではないことを肌で感じた。

ということで、ここはひとつ、気合いを入れて道の名前を覚えてみようと思った。

そうして僕は「まるたけえびす」と「てらごこ」の歌に登場する道、全てを徒歩で巡った。

 

何故徒歩?

Wikipediaでいいじゃない。

YouTubeでいいじゃない。

 

いや、良くない。オネェ口調の自分を制する。

新しく物を覚えるなら、机上だけで満足してはいけない。

自分の体に、徹底的に叩き込むべきだ。

仕事は目で盗め。習うより慣れろ。Don't think! Feel。

記憶は実体験を経て、やっと自分の物になる。そういうものだ。ガンジーあたりが言ってたと思う。多分。

ではこれから「京都の道の名前を体で覚える」を本格的に書いていこうと思う。

 

が、その前にひとつお断りをさせて頂きたい。

めちゃくちゃ長いです。

 

構想段階では良いところだけ切り取って、シンプルにまとめようと思っていた。

しかし京都の道を長時間歩いていて、だんだんと気持ちが変化していった。

「これを読む人に俺の8時間をこれでもかと喰らわせてやりたい」

29歳既婚男性の休日、約8時間の孤独に、どうか最後までお付き合い頂ければ幸いです。

 

【2 計画】

とにもかくにもまずは歌のご紹介。

 

東西に伸びる道の歌「まるたけえびす」

まるたけえびすにおしおいけ

あねさんろっかくたこにしき

しあやぶったかまつまんごじょう

せったちゃらちゃらうおのたな

ろくじょうさんてつ通りすぎ

ひっちょう越えればはっくじょう

じゅうじょうとうじでとどめさす

 

南北に伸びる道の歌「てらごご」

てらごこふやとみやなぎさかい

たかあいひがしくるまやちょう

からすりょうがえむろころも

しんまちかまんざにしおがわ

あぶらさめがいでほりかわのみず

よしやいのくろおおみやへ

まつひぐらしちえこういん

じょうふくせんぼんはてはにしじん

 

調べてみると、歌詞は地域によって若干違う場合もあるそう。

今回はWikipediaに載っていたものを参考にした。

歌詞だけだと道の名前が分かりにくいと思うので、今度は実際の名前で書き出す。

 

東西に伸びるの道

丸太町、竹屋町、夷川、二条、押小路、御池、姉小路、三条、六角、蛸薬師、錦小路、四条、綾小路、仏光寺、高辻、松原、万寿寺、五条、 雪駄屋町、鍵屋町、魚棚、六条、三哲、七条、八条、九条、十条、東寺

南北に伸びる道

寺町、御幸町麩屋町富小路柳馬場、堺町、高倉、間之町東洞院車屋町、烏丸、両替町、室町、衣棚、新町、釜座西洞院、小川、油小路、醒ヶ井、堀川、葭屋町、猪熊、黒門、大宮、松屋町、日暮、智恵光院、浄福寺、千本、西陣

 

現在使われている名前とは違うものが混ざっているが、それについてはおいおい書いていく。

また「東寺」と「西陣」は道の名前ではない。

とにかく、上記した57本の道と東寺、西陣へ行き、証拠として写真を撮ってきた。

 

次にルートを説明させてもらおう。

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碁盤の目のようなのが道だ。めちゃくちゃ雑な図解で恥ずかしい。

歌のままの順序だと一番北にある丸太町通からスタートになるが、今回は現地まで行く交通機関のことなどを考えて、十条通から出発。歌とは真逆の道順だ。

十条通から丸太町通まで進み、そこで曲がって、千本通から寺町通まで歩く算段。

外周を進んでいけば最終的に全ての道を制覇できる、という考えである。

 

さあ、やっと説明が終わった。

ここから体験記録を書いていく。

 

【3 東西に伸びる道編】

1.十条通

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午前9時過ぎ、JR京都駅から近鉄線奈良方面へ乗り換え二駅、十条駅に降り立った。

天気は快晴。朝一なのでちょっと肌寒かったが、これから暖かくなりそうな空気感だった。

初っ端ということでどこで写真を撮るか少し迷い、駅がちょっとでも見えてた方がいいかな、と考えての下の写真。

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微妙な画角。頭切れてるし。目は死んでるし。

 

この企画は羞恥心との戦いだった。

髭面のおっさんが地面に置いた三脚付きスマホでよく分からないものを背景にカンペのようなものを持ってセルフィー。

とにかく恥ずかしい。

なるべく人がいないタイミングで、素早く撮影。それのくり返し。

引っ込み思案な性格を治したい方はぜひやってみてください。今の自分を鑑みるに、効果はないですが。

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撮影を終え、線路沿いに北へ。九条通を目指す。

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途中、暖簾の掛かった高級料亭風の建物を見つけ(いつか、こういうところでごはんを食べたいな…)と思いながら近づいたら接骨院だった。京都め。なんでも和風だな。

 

2.九条通

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ほどなく九条通に到着。影に入ってしまったおかげで写真が暗い。僕の泥沼のような性根が染み出している気がする。

 

3.東寺

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九条通を終えて、東寺へ。

東寺はつまり、五重塔がある寺だ。東西の歌の最後に登場する、道ではないところ。

来てみて思ったが、そういえば五重塔って入ったことない。また今度、普通に来よう。

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さすが京都の主要な観光スポットのひとつ。人通りが多い。

というわけで自撮りの恥ずかしさが4倍増し。

勘弁して欲しい。

 

4.八条通

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京都駅のある通り、八条通でパシャリ。やはり暗い。和田アキ子のようにハッスルしているカンペが妬ましい。

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高架下をくぐり、七条通へ向かう。こういう場所、スチームパンクな感じがしていいですよね。仮面ライダーが戦ってそう。

 

5.七条通

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これまた大きな通りで人も車も多い。

交差点のベンチに座ってこっそりと撮影。信号待ちする車からの目線が痛い。

さて次は…と地図を見たところで、1本、道を飛ばしていることに気づいた。

歌で言う「さんてつ」の部分。三哲通である。現在は塩小路通と呼ばれている。

歌だと三哲通が先に出てくるので順番を間違えてしまったのだ。ややこしい!

 

6.三哲通

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ここで初めての笑顔。いや笑顔か?ユーモアな表情でなんとか車を停めようとしているヒッチハイカーにも見える。

 

7.六条通

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少し北へ移動し、六条通

この六条通で時間を食ってしまった。

 

というのも、これから出てくる魚棚通も、名前が変わって現在は六条通になっているからだ。

同じ道が違う名前で2回登場している。それを理解するのに15分かかった。

また「ちゃらちゃら」の部分、鍵屋町通もこの辺り。入り組んだ地形、道に苦労した。

一応、それらしい場所をそれぞれで見つけたので撮影。

 

8.魚棚

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魚棚通は小さめの商店街になっている、という情報をゲットしたので探し当てた。

商店のおばあちゃんに「この通りって昔で言う魚棚通ですか?」と聞き「そうですぅ〜」というお墨付きまで頂いて。何買うでもない髭面にちゃんと教えてくれるなんて、人って優しいんだなって思った。

 

9.鍵屋通

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「ちゃらちゃら」という響き、好き。

その「ちゃらちゃら」という言葉の中には銭屋町通も含まれているようですが、今回はこちらで。

 

10.雪駄屋町通

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現在の楊梅通こと、雪駄屋町通

仁王立ち。ちなみにこの写真の右側は中学校。部活終わりっぽいジャージ姿の女の子が目を伏せがちに横切っていった。ごめんなさい。

 

11.五条通

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大きな道へ出た。五条通である。

いい具合に歩道橋があったので、そこで撮影。ネズミみたいな顔をしている。

こんな感じに日当たりが良いと、それなりに陽気な人間に見える。滲み出ていた心の闇は消えた。良かった。

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しかしほんと、京都の道はまっすぐだなぁ。

 

12.万寿寺通

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顔芸大会になってきた。

 

13.松原通

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松原通にて。ここで11時を過ぎた。

まだまだ歩かなければいけない。

実はこの企画をやりきるのに、この日だけしか時間が取れなかった。

全部回れるか不安になる。

 

14.高辻通

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ヤンキースタイル。

影の中で撮っているせいで肝心の通り部分が白飛びしている。

僕、これでも映像や写真のカメラマンしてたことあるんすよ。

どうやら何も得られていない。

 

15.仏光寺通

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この辺りでは偶然、廃品回収のトラックと同じルートで移動することに。

宣伝の音が大きくて、さらにはゆっくり走っていた。うるさかったので参った。

 

16.綾小路通

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だいぶ気温が上がってきたので上着を脱いだ。

暗い色の服を着ている。心の闇は服装にも現れるのだ。やっぱり陽気な人間じゃなかった。

 

17.四条通

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京都の通りと言えば四条通

ただ撮影のタイミングが最悪で道に車が被ってしまっている。気づかなかった。気づけよ。

 

人が多い道での撮影はやっぱり恥ずかしくて、心臓が握り潰される感じがする。

 

18.錦小路通

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人の少ない道は安心する。ここを実家にしたい。母親の手料理を食べたい。肉じゃがが良い。

 

19.蛸薬師通

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きっちり揃った足と後ろの「しんし」という看板が妙にマッチした1枚。

ちなみにこの「しんし」は 着物を染色する時に使う道具のことだそうです。

 

20.六角通

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疲れてきて、顔芸のことをすっかり忘れている。

 

21.三条通

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歩を進めていると、アーケードの屋根が見えた。

ちょうど京都三条会商店街に出たようだ。

 

この商店街、なかなか活気がある。人の往来が激しく、昼時ということもあって店先に行列が出来ている飲食店もあった。

こんな中で写真、撮りたくねぇ〜。

絶対撮りたくねぇ〜。

恥ずかしい〜。

無理〜。

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撮りました。

奇跡的に人が途切れたタイミング。カメラをセットしてから撮影までわずか3秒。

完璧だった。パーフェクトセルフィーおじさんの完成です。

 

22.姉小路通

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人通りが少なくて安堵。ここにお気に入りの座椅子を置いて映画でも観たい。ピンポンが好きです。

 

23.御池通

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時刻は12時過ぎ。御池通での撮影が終わったので、近くのラーメン屋で昼食。

 

店員さんが出してくれたメニュー表を開くと、料理の名前が中国語で書かれていた。

(本格的なラーメン屋さんなんやなぁ…)と思いながらどれにしようか考えていたところ、店員さんが「すみません、こっちでした…」と違うメニュー表を出してきてくれた。

大きなリュックに首から下げたカメラで、どうやら中国人観光客だと勘違いされたようだ。

改めて出されたメニュー表には、ちゃんと日本語で「醤油とんこつラーメン」と書かれていた。

 

24.押小路通

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自撮りの準備をしている時にすれ違ったマダムに、めちゃくちゃ睨まれた。怖かった。

 

25.二条通

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歌を思い出しながら歩いているおかげで、次の通りの名前が地図を見なくても分かるようになってきた。

ほら!本題の「京都の道の名前を体で覚える」!これこれ!この感じを味わいたかったんだよ!

 

26.夷川通

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東西編、あと3つ!

区切りが見えてテンションが上がっている。ポーズからお分かりいただけるだろう。

 

27.竹屋町

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顔は死んでるけど。髪型も変だけど。

 

28.丸太町通

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丸太町通

ということで東西編「まるたけえびす」はここで終了。

時刻は13時過ぎ。スタートして約4時間での到着。

 

そう、約4時間だ。

僕がこの記事の最初に「これを読む人に俺の8時間をこれでもかと喰らわせてやりたい」と書いたことを覚えておられるだろうか。

つまり残りの4時間がこのあと待っている。

もちろんこの記事自体も、ここで半分だ。

 

午後、風が強くなってきた京都の街を、僕は進んだ。

 

【4 南北に伸びる道編】

まずは南北編のスタート地点、西陣へ向かう。

これが少し厄介だった。

 

まず、道ではなく地名である。「西陣織」などで有名。

で、僕が東西の道編の最後に到着した場所から遠い。

歩いて30分かかった。早くスタートさせてくれ。

 

1.西陣

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せっかくなので西陣っぽいものを探してみた。西陣織会館にある石碑の前で1枚。

ここから今度は千本通に行かなければいけない。

またちょっと遠い。容赦ないな。

 

2.千本通

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15分かかった。足先がどんどん痛くなってきている。

 

暖かい日差しと疲労、そして満たされたお腹。

眠い。

しかしここに布団はない。

歩くしかない。

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そうそう、デザートで食べた冷やし生あんぱんがおいしかった。

中にあんこと生クリームが入ってる、薄皮生地のあんぱん。

 

3.浄福寺通

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光の筋が写り込んで、神々しい写真になった。勇者ヨシヒコの仏様が登場しそう。

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京都の街はこういう小さな社が点在していて、さすが京都だなって思う。歴史みがある。

 

4.智恵光院通

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かっこいい名前の道ですね。

 

この日は土曜日。公園はたくさんの親子連れ、人で賑わっていた。

楽しそうに遊ぶ子供たち、それを見守る親、散歩中の老人たちの姿。

それを眺めていて「俺…もしかして孤独なんじゃないか…?」と思い始める。

 

そういえばこれの撮影に際して、写真係が欲しくなり友達に連絡を入れた。

1人は予定があって無理。1人は未だに既読すらつかない。

というか2人しか連絡できる友達がいない。

一応Twitterで写真係を募集してみたが、全く反応はなかった。

 

いや…待て…色々考えたくないぞ…。

 

5.日暮通

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こち亀で4年に1度、オリンピックの年に登場するキャラクターみたいな名前の道。

ここで、まったくの偶然だが、

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俳優、佐々木蔵之介の実家である佐々木酒造を発見。

全然そうじゃないのに、生で佐々木蔵之介を見た気分になった。

 

6.松屋町

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この辺りから疲れ、足の痛み、孤独の影響が顕著に現れ始める。

具体的に言うと歩きながら独り言をブツブツ。舗装された道に対する悪態を吐いていた。

「硬すぎやろ」とか。

 

7.大宮通

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浮かない顔とはこれのこと。

 

8.黒門通

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ポーズしてくれ。インスタ映えブームに逆行している。

 

9.猪熊通

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(よし、どっかで一旦コーヒーでも飲もう!)と決め、自分にやる気をもたらした直後。

少しだけ工夫が見られる。

 

10.葭屋町通

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コーヒー休憩後なので、多少気力が回復していて、妙なポーズを取った。

 

その場にあった、というだけで入った、カフェでの休憩。

音楽好きな店長さんなのか、レコードやポスターがたくさんあった。

カウンターには常連風の3人組がいて、一番若い男の人がmac bookをカチャカチャターンしていた。

(これがノマドワーカーか…)と田舎者目線で眺めた。

 

11.堀川通

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時刻は15時を過ぎ、日が傾き始めた。急がなくてはいけない。

日が暮れると撮影が難しくなる。自動販売機の光に照らさながらの自撮りは避けたい。

次の目的地は醒ヶ井通だ。

 

ここでおかしいなことが起きた。

歌では隣り合っている通りなのに、地図を見ても近くに名前がない。

色々調べてみた。

すると醒ヶ井通は、四条通から南に伸びていることが分かった。

 

現在、堀川丸太町辺りである。

土地勘がないとイメージしづらいかもしれないが、丸太町通から四条通は、遠い。

実際、その時書いていたメモには「15:45 醒ヶ井着」とある。

つまり醒ヶ井通に着くまで、約45分ほどかかっている。

足の痛みはピークへ。

 

12.醒ヶ井通

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この座りポーズは休憩も兼ねている。

 

13.油小路通

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道が隣り合ってるって、素敵。

 

しかし次の小川通、ここでまた少し北へ行かなければいけなくなった。

醒ヶ井通と同じく、途切れているのである。

おかしいぞ、京都の道。

お前、碁盤の目じゃなかったか。

 

14.小川通

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自転車で遊ぶ子供を尻目に撮影。それをおじさんに貸してくれ。

良かった、次は隣の通りだ。

 

15.西洞院通

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良くなかった。次の通りがまた北の方で途切れていた。

 

16.釜座通

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そして僕は気づいた。

京都の道の秘密を。

 

今まで生きてきて、ずっと「京都の道は碁盤の目」だと思っていた。

しかし今回、南に北に、途切れた道を追って歩き回っている。

 

これが碁盤の目か?全ては繋がっているのではないのか?

そんなことはない。現に苦労させられている。

でもこれ…どっかで見覚えがあるぞ…。T字路が続く感じ…。

あっ。

そうだ!これは碁盤の目じゃない!

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アミダくじだ!!

 

道はまっすぐ。でも途中で途切れてしまう。

碁盤の目なら途切れないはず。

じゃあ何か?

アミダくじだろこれ!学校の席替えかよ!

 

京都の道はアミダくじ。

これは生涯忘れられない経験だと思う。

なんだよ碁盤の目って!東西南北繋がってんじゃねぇのかよ!ふざけんなよ!繋がってろよ!

 

17.新町通

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京都の街に対する怒りを通り越し、悟りを開いた表情。

 

18.衣棚通

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吠えてすみません。

 

19.室町通

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そりゃ座りたくもなる。

 

20.両替町

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ここにはNHK京都放送局がある。せっかくなのでその建物をバックに。

 

21.烏丸通

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人通りが多い道、烏丸通

この頃になると、恥ずかしさより、この企画をこなすことへの思いが強くなっていて、特に何の感慨も湧かないまま撮影していた。

あるのは一人きりで歩くことへの孤独。それに気づいた悲しみ。

 

22.車屋町通

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日差しが夕暮れ色に変わって、気温も下がってきたように感じた。

 

烏丸通より東の道は、路地っぽくても人が多い印象。外国人観光客もいる。

そんな中での撮影。和気藹々とした話し声が聞こえる。寂しい。

 

あっ、ちなみに車屋町通ということで、ハンドルを握った風なポーズです。しょうもな。

 

23.東洞院通

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時刻は17時近く。

暮れる街、開く飲み屋。ビールが飲みてぇ。

 

24.間之町通

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カンペの残り枚数を数えて、あと10を切ったことに気づいた。

ラストスパートだ。

 

25.高倉通

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思い出したかのように妙なポーズを取る。

いやポーズか?腰が痛かっただけじゃないか?

 

26.堺町通

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表情が無。前日に酒を飲みながら書いたカンペの、ポップな字体に負けている。

 

27.柳馬場通

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と思いきや久しぶりの変顔。感情の起伏がおかしい。

 

28.富小路通

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ここが終わって、あと3つ。

 

29.麩屋町通

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と、ここで携帯が鳴った。

遠方に住んでいる友達3人組からのラインだった。

 

そこには友達の家で3人が集まって、思い思いのポーズを決めている写真が。

はしゃいでいた。楽しそうだった。

 

片やひとりで京都の街を何時間も歩き回る自分。

孤独の渦中にいる自分。

正直ムカついた。

 

ムカついたので麩屋町通の写真を送りつけてやった。

意味分かんないだろ!悩め!疑問を浮かべろ!

 

30.御幸町通

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ここ入れてあと2つ、ということで少し心に余裕が出た。

なので今までになかった首を傾げるポーズ。

かわいくねぇよ、やめとけ。

 

そして。

 

31.寺町通

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寺町京極商店街の入り口を背景に撮影。

終わった。

時計を見ると17時12分。

何度も書いているが、約8時間の行程。

これにて終了。

 

【5 まとめ】

ということで、この時撮った写真を使って完成させたのが、冒頭の動画です。ちなみに曲も手作りです。

 

ここで、歩き終わった直後に書いたメモをそのまま書き出してみます。

 

・つかれた

・さみしかった

・ちょっと覚えた

・ビールが飲みたい

 

シ、シンプル〜!

 

ちょっと覚えた、というのは道の名前のことですね。

タイトルにある「京都の道の名前を体で覚える」ですが、正直言うと、暗記できるまでにはなっていません。

しかし、今回巡った通りの読み方にだけは、今後困らないでしょう。それには自信があります。「御幸町通」とか。「みゆきちょうどおり」だと思ってた。

 

とにかく、やりきった!やりきったぞ!という気持ちでいっぱいな終わり方でした。

大雑把な計算ですが、歩いた距離は合計で25kmぐらい。

東京駅から埼玉県さいたま市役所ぐらい。皇居5周分。京都のタクシー料金換算で約9000円。なんと1cmを2500000回分です。

いや実際はもっと効率の良いルートがあるでしょうね。
外周じゃなくて真ん中を十字に歩いた方が良かったかなぁ。


あと「京都の道は碁盤の目じゃなくてアミダくじ」。これ大切。

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【6 おわりに】

これを真似する人がいるとは思えませんが、もしやってみて、もし迷ってしまった場合のアドバイスを最後に。

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京都の街だけじゃなく、全国どこでも使える話です。

今自分がいる場所が分からなくなったら、近くの電柱を見上げてみましょう。

上の写真のように、その場所の地名が書かれています。

それを頼りに現在位置を把握できるはずです。

……人に聞くのが一番早いんですが。

 

以上です。最後までありがとうございました。

 

こちらの記事は2019年3月15日に投稿した前ブログ記事の再掲載版です。